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尾崎かおりブログ
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「金のひつじ」3巻は4月23日発売です!!
部数は2巻よりもさらに控えめになってしまいましたので、例によって地方の書店まで廻っていかないと思いますので、どうぞ事前のご予約をお願いいたします。

電子書籍なら品切れはありませんし、そちらを買って頂くのもとても嬉しいです!
ただ電子書籍のデータは軽くするために、画質を劣化させたり、モアレが出ないようにするために、わざとトーンを潰したりという処理がされているらしく、あまり綺麗ではないので、作者としてはやはりちょっと不本意なのです。
製版所によって処理の仕方は違うみたいですが、今の所劣化は避けられない現状のよううです。
未来にはもっと綺麗な大容量データで漫画を読めるようになるのでしょうが、今発売済みのデータを作り直してもらえることは、恐らくないのではと思います。
紙の本の方は、なるべく原画に近くなるように、印刷所の方にも頼んでいますので、紙も電子もどちらもよろしくお願いします。


あと3巻に収録予定の読み切りの「ラブレター」に関しては、電子書籍の方で単品でも買えるようにお願いして手配して頂きました!
「ラブレター」だけ読みたいという人もいるかと思って。
バラ売りや話売りできるのは電子の良いところですね。
「ラブレター」だけ読みたい、買いたい、人に勧めたいという方は是非是非そちらをどうぞ!




「ラブレター」について

自分の漫画をフォローするようなことは書きたくないと思っていたので「ラブレター」については今まで語らなかったのですが、描いた時のことを少しだけ説明します。
「ラブレター」は3年前のアフタヌーンに乗せてもらった読み切りで、「金のひつじ」の3巻に収録することにしました。
(ラブレターをまだ読んでなくて、予備知識なしに読みたい、という人はここから先はラブレターを読んでから見てください)












ラブレターを描くよりだいぶ前、あるニュースを見ました。
二十歳を少し過ぎたくらいの若い母親が、風俗で働きながら二人の子供を育てていて、立ち行かなくなり子供を置き去りにして、餓死させてしまった事件です。
子供の父親とは離婚していて、養育費も払ってもらえず、家族の助けもなかったようですが、
子供の父親と父親の母親(子供のおばあちゃん)は、裁判にやって来て「遺族として極刑を望む」と言ったそうです。
母親は懲役30年になりました。
ネットには「軽すぎる」とか「死刑にしろ」という言葉で溢れていました。
母親のブログを遡ると、可愛い子供の写真と、楽しそうな子育ての様子が書いてありました。

二十歳くらいで子供を産んで、助けてくれる人がいなくなって、助けてくれる制度とかも知らなくて、風俗で働いて子供を育てていたら、自分だったらどうなるかなと考えました。

日々いろんなニュースを見ては、行き場のないモヤモヤが心に溜まっていきます。
自分には関係ないことだと、飲み込んで暮らしていきます。
私は何か言えるような立場ではありません。
ラブレターもこのニュースを見て書こうと思ったわけではありません。
それから何年も経ちました。

その日はスーパーに行ったら露出狂を見てしまって、気持ち悪くて急いで帰って来て、お風呂に入りながら、早く忘れよう、他のことを考えよう、としてました。
ふと昔読んだ「子供は母親を選んで生まれてくる」という話を思い出しました。
もしそんな話が本当だとしたら、なぜ自分を虐待する親を選んで生まれてくる子供がいるのだろうか、とぼんやり考えていました。

その時突然、浴室の天井がぶち抜かれたように「ラブレター」が降ってきました。
私は「金のひつじ」の準備中でネームを考えているところでしたが、ちゃぶ台をひっくり返すように「ラブレター」がなだれ込んできて、他のものは全部押し流されて、頭の中でフルボリュームで映画が流れているような状態になりました。
他のことは何も考えられなくなり、繰り返し繰り返し「ラブレター」が大音量で頭に流れ続け、お風呂から出て、頭の中に流れているものをそのまんま紙に描き起こしました。
そうすると頭の中は空っぽになって、元の自分に戻りました。

なぜ漫画を描くのか、なぜ物語を「授かる」のかは今でもよく分かりませんが、
いつもいつも「自分で出した答えではない」という感覚があります。
見ないふりをしても、考えないようにしても溜まって行く、心の中の押し流せないものに対して、無意識に毎日祈り続ていた「返答」が、或る日突然届くのです。
ダムが決壊して、全てを押し流すように。

できればそれが他の人にも必要なもので、必要な人に届いたらいいなと思っています。




裏設定

この天使(無性別)はかつて人間として下界で暮らしていたが、とても辛い目に遭い、もう生まれ変わりたくないと、今は天界で神様の助手をしている。



この神様には「愛」という感情しかないので、人間の苦しみや悲しみが理解できない。
神様はすべてのことを「素敵」と思ってしまうので、人間界からはいつまでも悲しみや苦しみが取り除かれない。




下界での一年は、天界での10分に過ぎない。

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