今月は色々な所に取材に行ってきました。
別に格闘マンガ描くわけじゃないんだけど…。
お邪魔させて頂いた取材先の皆様、ありがとうございました!
「不幸な人の方が面白いものを創れる。
幸せになると創るものがつまらなくなる。」
というのをどこかで読んで、そういえば私も10年くらい前はそう思っていたな、と突然思い出しました。
思い出したということは、今全然そう思ってないってことなんだけど…。
メトセラを描いてた20代の頃は、他のことを全て後回しにして、犠牲にして、
このマンガがちゃんと描けたら死んでもいいし、ちゃんと描けなかったら死んでやるみたいな、
大袈裟じゃなくて、全てを賭けてやってました。
好きな桜もひと目も見れない、
締め切りの度徹夜して、30時間とかぶっ通しで描いて、家事も出来なくて、部屋が荒れ放題で、
毎日毎日メトセラのことばっかり考えて、
今月こそもう描けないかもしれないって不安でのたうちまわって、
編集さんは私の苦労を肯定しようとして「それだけ苦労したからいいものが描けたんですよ」って言ってくれて、
読者の人も「命削ってるからすごいんですね」みたいに言ってくれて、嬉しかったんですけど、
私はそれを「面白いものを描くには苦しみ続けなくてはいけないんだ」と、受け取ってしまってました。
どんどん「他のことに浮気したら漫画の神様に見捨てられる」
「命がけでやらないと人は見てくれない」と思い込んで行きました。
だから13年の連載は辛くて辛くて仕方なかったです。
苦労や努力をしないと成功は得られない、という概念は
もしかしたら、とても苦労した末に成功した人が、自分の苦労を肯定したくて、
もしかしたら、身を粉にして育ててくれた親御さんの苦労を肯定したくて、
そして今やっぱり苦しんでる人たちが、この苦労は成功に向かってるんだと信じるために、自分を励ますために、苦労しないと成功はできないと自分に言い聞かせているのかも。
本当は苦労や不幸を義務化する必要なんてなくて、
楽して幸せそうな人だっているし(それは別に悪いことじゃない)、
苦労しても報われない不幸もある。
ひとつのことに全てを賭けて挑むという経験はすごく幸せなことでもあったし、
(言う程いっぱい描いてないですが)
20代でやっておいてよかったなと、後悔はまったくないけど、
だんだん体力もなくなって来て、これからも漫画を描いて行くには、今までのような描き方ではもう無理だと思います。
人生は思ったよりずっと長いことに気づいて、これは短距離走ではないんだなと。
できるだけ楽に自然に描くにはどうしたらいいのか模索しています。
そしてやっと最近ちょっと、マンガ描くの楽しい!!(23年かかった)
色々こだわって握りしめていたものを手放して、これからタガが外れたように楽しくなって行くといいなあ!
来年は連載を始めて、できれば年内にコミックスを出すことを目標に頑張ります。
前述のようにすごく描き溜めないといけないので、始まるのは来年後半かもしれませんが…。
その代わり今度は少し長めの連載をしたいです。
忘れられないように、時々進行状況お知らせしますね。
取材先のジムに居たくぅちゃん。
ではみなさんよいお年を。
今年もありがとう。
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